「くそぉぉおぉおおぉぉおお!!」    余りにも深い物理氏とガス氏の愛を見せ付けられ、僕こと狼狐はガンガンと頭を壁に叩きつけていた。もろちんアリスのを。   「ぎっ、やめっ、あがっ!!」 「もういっぱァァァァァァァァァァァつ!!」    アリスの頭を掴んだまま壁から10Mほど離れて、助走をつけてアリスの頭を思い切り壁に叩きつけた。スイカが瞑れるような音が響く。  そのままゴリゴリガリガリと頭をこすり付ける。3分ほどそうしてから頭を離すと、半分ぐらい削れていた。   「うん、壁をヤスリ状にしておいて良かった。……ハッ!!」    一人満足そうに呟いてから、僕は伏線なく限りなく唐突に凄いことに気づいた。ひょっとして――痛みを与えるだけでは愛していることにならないのではないだろうか?   「やべぇ! まったく考えてなかった! 鱗から目! 鱗から目!」    ハイテンションで叫びながら、アリスの死骸をなんか変な機械の穴に突っ込んだ。ガガガガガという音とともに、完全復活したアリスが吐き出される。  今週のびっくりどっきりメカ、その名も『記憶とか魂ごとアリス復活しちゃうぜマシーンZ』だ。Zの意味は『ぞっこんラブラブアリス』の略だ。  ちなみにアリス以外を入れると俺より文章力とか構成力とかが凄いというかまぁ言ってしまえば俺より面白い産廃作家が爆死する。  え? それだと産廃作家全員ってことじゃないかって? うるせぇよ。分かってるよ。うん、ごめん俺も言いすぎた。   「ひぃいいぃぃい!! もう嫌ァ! もう死にたくない!」    1万回ほどこの機械使ってるけどアリスが死に慣れる様子はない。まぁそりゃそうだよね、慣れた頃に記憶リセットしてるし。   「安心してアリス! もう僕は君を殺さない! 僕を味わってくれ、優しく愛おしそうに美味しそうにばぐばぐむしゃむしゃと!!」    手を広げて叫んで、僕はアリスの口をガッと掴んだ。   「あがっ!?」    グググ、と力を込めてアリスの口を広げる。あ、ガコンって音がした。顎が外れるとこんな音するんだね。   「さぁ召し上がれ!!!!!!!!」    いい感じに広がったアリスの口に、僕は自分の頭を突っ込んだ。そのままぐりぐりと頭を奥へ奥へと押し込む。   「さぁ齧ってさぁかみ締めてさぁ味わってさぁさぁさぁさぁさぁさぁさぁさぁさぁさぁ!!」 「ごぎゅうがっ! ひがぁぁあががぁが!!」 「どうしたのアリス、何を戸惑っているんだい!!」    しばらくぐりぐりとやっていたがアリスは噛んでくれなかった。どういうことだろう。   「ハッ!? そうか、分かったぞ。復活したてでちょっと歯が弱いんだ今のアリスは!!」    謎の覆面科学者マスター・ニートンさんにその場にある物だけで作ってもらった機械とはいえ、完璧ではないのかもしれない。  そうと決まればと僕は包丁でぐしゃりとアリスの喉を刺した。   「ぎゃひィ!? かひゅー、かひゅー」    変な呼吸をし始めたアリスの喉の傷口に手を突っ込んで、ガバリと広げた。   「どうだいアリス、これなら歯が弱くても食べれるだろ!!!!」 「がひゅ、がひゃ」    嬉しそうに嬉しそうにそう叫びながら僕は広がった傷口に腕を突っ込んだ。   「あ、これじゃ味が分からないね!!!!」    なんというミス。致命的。だが大丈夫、僕に考えがある。   「おりゃー!」    そう雄たけびをあげて、突っ込んだ腕を上へ更に進ませた――つまり腕を喉からアリスの口へと出した。   「どうだいアリス、さぁ舐めて! やらしくやらしく恋する少女が縦笛を舐めるようにペロペロとペロペロと!!!!」    などと叫んではみたものの、アリスは何故かバタバタと体を動かすばかりで舐めてくれない。あ、死んだ。うっかりろーこ☆←これは流行るな。僕おおかみきつねだけど。  死んでしまっては愛せないので再び機械に投げ込んだ。あ、なんか悲鳴上げてる。微妙に生きてたみたい。アレ1回焼却するから結構痛いっぽいんだよね。   「あははははははははははは!! もっと殺してよもっと殺してよあははははははははぐっ」    完全復活体で吐き出されたものの、どうやら狂い出したようなので膝にローキック→体勢を崩して低くなった頭に踵落としのコンボで気絶させ、再び機械に投げ込んだ。もちろん記憶消去装置も作動。  あぁ、さっきより凄い悲鳴上げてる。記憶消去機能付きだと全身酸で溶かすらしいからね。しょうがないしょうがない。   「こ、ここは? ここは何処よ?」 「お帰りアリス、さぁ愛すよ! めっちゃ愛すよ!」    何が何だか分からないと言わんばかりの表情を浮かべるアリスを押し倒して、今度は腹に包丁を刺した。   「がはっ!?」    口から血を吐いて倒れたアリス。さてどうしよう、広げるのが面倒だ。あ、そうだ。   「えーい☆」    可愛い声を出して、僕は机に上ってアリスの腹の傷口目掛けて勢いよく飛び込んだ。ナイスヒット、足がアリスの傷口を広げて胃へと至る感触がした。   「ひぎぃあぁあぁぁぁぁあぁあぁぁあぁぁぁぁあぁあぁぁあぁぁぁぁ!?」 「うっせーし^^」 「あがっっ!!」    アリスが殴られた。ちょ、ガンギマリさんいつのまに僕の部屋に。あ、消えた。え、消えた!? まぁいいや。   「さぁ〜〜〜〜〜アリィス!! 消化して、僕を消化して! ドロドロヌチョヌチョと僕の体とその儚い体を混ぜ合わせてくれ!」    これが駄目だったらもうあと肛門に突っ込むしかないんだけど。どうしよう、初スカトロかな。そんなことを考えていた僕の肩をポンと叩いた。   「君は実に馬鹿だな」 「えっ、ナ、ナズーリンさん!?」    なんで僕の部屋に。何、僕の部屋誰でも入れるようになってるのこれ。ていうか入ってこないで欲しい。近くに同人ショップないからいまだに星蓮船やれてないんだもの。何より――   「いいかい、愛というのは――あれ、何この音。すっごいピーピー鳴ってるんだけど」 「アリス以外の東方キャラが入ると爆発するようになってるんですよね、この部屋。もちろんアリスが爆発するんですけど」 「君は実に馬鹿だな」 「そうですか?」 「爆発オチで済ませようとしてる辺りが特に。爆発オチは一部の作家にしか許されていないというのに。中毒さんとか中毒さんとか」 「ですよねー」    そう言って僕がにっこりと笑った瞬間、物理さんと排気ガスさんとあとシュバルツ中佐が爆発して世界は浄化された。第三次世界大戦の幕開けである。〜完〜