「――で、あるからして、キン肉マンとヘルシングには切っては切れない関係があるといえるわけだ」 とある何でもないような、いつもと変わらないように見える日。だが、僕らの目は、飢えたケモノのようにギラギラと光っていた。 僕らの瞳に映りこむのは――慧音先生の麗しい姿だけだった。 話は三日ほど前に遡る。 その日の放課後、慧音先生の寺子屋に通う僕ら男子は、所謂猥談に花を咲かせていた。もちろん、大半が慧音先生の話だ。やれおっぱいを揉みたいだの、やれあのお尻にしゃぶりつきたいだの。 そのときに、僕らの一人が言い出したことが、全ての始まりだった。 「慧音先生にザーメンぶっかけたくね?」 かけたい、かけたいと皆が興奮気味に同意する。話はどんどん盛り上がっていき――ついにはとんでもない遊びが考え出された。 「慧音先生に一番にぶっかけた奴の勝ち」 そうして話は今に戻る。 準備は万端、全員、椅子に座りながら既にイチモツをさらけ出して、上から慧音先生にそれを悟られないように毛布をかけて見えないようにしている。永遠亭さん贈与の机と椅子セットのおかげで自慰もしやすい。 もちろん全員が膝に毛布かけているという状況は奇妙であるが、まさか慧音先生も僕らが自慰をするためにそうしているとは思いはしないだろう。 事実、微塵も気にすることなく先生は授業をしている。 ここまで準備するのは大変だった。謎の覆面魔法使い、マ・リーサさんの助けがなければ、到底不可能だったろう。彼――彼女、かも知れないが――がくれた腹痛薬のお陰で、いまこの教室には男子しかいないのだ。女子はいまごろ、全員布団の中出ウンウン唸って苦しんでいるだろう。悪いことをしたな。 「――ということで、ジョジョは名作なんだ。よし、潮奈参。文庫版の16巻から朗読」 ――来た! ついに時が来た。生徒朗読、それは慧音先生が僕らの机の間を歩き回る時間。僕らと慧音先生の距離が最も近づく時! つまり――ぶっかけチャンス! なるべく多くぶっかけるために、気づかれないようにしごき、絶妙な場所を狙わなければならない……! タイミングも重要だ、下手をすれば暴発して手にかかってしまう。なんとなく嫌ぁな気分になること間違いなしだろう。 と、視界の隅で、何かが動いた。目だけをそちらに向けてみると――慧音先生の背後に、既に男子の一人、丹蘭が立っていた。 あのいきり立ったちんこが慧音先生のむっちりとしたお尻に接触して気づかれてしまうのではないか、とこっちがドキドキしてしまうほどに、丹蘭は近づいている。 ふと、アイツがこっちを見てニヤリと笑った。何が言いたいのか、そのギラギラとした、しかし純粋な目で分かった。 ――最初にぶっかけるのは、この俺だ 僕から目を話した丹蘭が、自分のちんこを右手で優しく包み込んで、しごき始めた。 やはり既に先生が教壇で喋っている時に正面から見つめることの出来る、あの豊満なおっぱいである程度は下準備をしていたのか、すぐに丹蘭のちんこからはザーメンが溢れ出た。 飛び出したザーメンが、一滴残らず先生のいやらしいお尻にかかる。この日のために我慢していたのだろう、かなりの量のザーメンが慧音先生のお尻をぐちょぐちょに汚していた。先生が気づいている様子は全くない。 几帳面な慧音先生のことだ、毎日洗濯しているだろうし、お風呂もちゃんと入って、体を洗っているに違いない。それは自分のためというより、僕らのため。 僕ら生徒が大好きだからこそ、先生はその身を服から身から綺麗にして、僕らの前で授業に望んでくれている。 僕らはそれを、欲望の詰まった白濁液で汚しているのだ! そう考えただけで、僕のちんこは爆発しそうだ。まだだ、まだ出すな……! こらえるんだ! そういえば丹蘭はどうなったかな、と再び目を向けて――僕は驚きの余り叫びそうになった。慌てて口を抑える。 丹蘭はなんと、慧音先生のお尻の匂いを嗅ぎながら、ちんこをしごいていた。今にも顔を埋めてしまいそうな距離まで顔を近づけ、くんくんと鼻を動かしている。 非常に羨ましいその光景をみて――ふと、あることを思い出した。 ――そういや慧音先生、授業前に長めのトイレに行っていたな…… もしかしたら、いや、綺麗好きな先生のことだからあり得ないとは思うが、だがもしかした。 ――今の慧音先生のお尻は、うんちの臭いとザーメンに臭いが混ざって……う!? がばっ、と僕は自分のちんこを強く掴んだ。我慢汁が少しだけ溢れる。危ない危ない、余計なことを思い出したせいでイってしまうところだった。 「うん。感情の篭ったいい読みっぷりだ。ディオの余裕が伝わってくる」 自分を必死で抑えている僕に気づいた様子もなく慧音先生がうんうんと頷きながら言った。 「次、出庵」 僕の横の席の男子が立ち上がった。よし! 先生は朗読中の生徒の近くをグルグルと回る、つまり僕にチャンスが多く回ってくる! 慧音先生が僕の横を通り過ぎた瞬間、僕は左手を毛布の中に突っ込んだ。殆ど発射するところだったがゆえに少々抑えすぎてしまった。音を立てないよう、しかし素早く、何より気持ち良く手を動して、再び発射直前状態まで戻す。 そう――大半の男は右手でしごくというが、運のいいことに僕は利き腕と逆の左手派、手馴れている! しかに僕は普段から授業中に慧音先生を見ながらオナニーしてる! 先生の椅子に何度もぶっかけてるし、うたた寝をしていた慧音先生のほっぺにペニスを擦り付けたことだってある! ついでにいうと慧音先生の家中の物がザーメン塗れになったのはアレ僕の仕業! この勝負――負けるわけがない! ――行くぜェ! 心の中でそう叫んで、僕に背を向けた先生に近づいて、限界ギリギリなちんこにトドメを刺した。 どぴゅ、とありがちな擬音ともにザーメンが慧音先生のお尻にかかる――が、僕の手は止まらない。出したばかりで敏感になっていた僕のチンポは、一人一回の上下運動で再びザーメンを撒き散らす! 二回、三回、四回五回六回! まだまだ出すぜ! とニヤリと顔を歪めたその瞬間―― 「お、ここは上院議員好きの狼狐に読んでもら――!?」 慧音先生が、こちらに振り向いた。場が凍りつく。それを打ち破ったのは――他ならぬ僕だった。 「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」 雄叫びを上げて、椅子を踏み台に高く飛び上がる! 左手はちんぽを掴んだままで! 最高点まで上がったところで、僕は再び手を動かした。 ――いっそ、顔にかけてやるッ!! 胸の内でそう叫んで刹那、僕のちんぽは絶頂へと達した。が――出ない!! 「抜きすぎた。抜きすぎたんだよお前は……」 誰かがつぶやいた声が耳に入った。そんな、僕は負けたのか? 人生に、世界に、……運命に! 「否!」 再び誰かの呟く声が聞こえた。一語だけだが、力強く、頼もしい声が。負けるな、諦めるなと僕を叱る声が! これは、この声は僕の声だ! 僕の本能が発した声だ! 「まだだぁ!!」 そう叫びながら、さっきより力強くちんぽを擦る! すぐさま絶頂に達し――まるで水不足で喘いでいた貧困の村に水が沸いたかのように、僕のちんぽからザーメンが発射された。 少々赤みの混ざったそれは真っ直ぐに先生の顔に着地―― しなかった。いつのまにか慧音先生と僕の間に――アリスさんがたっていた。 「あれ……? 私……あれ?」 アリスさんはなんだか惚けたような顔をしている。ザーメンのかかった状態でその顔はエロいな、などと現実逃避気味だった僕におい、と怒気の混じった声がかけられた。 振り向いた先に立っていたのは勿論慧音先生だが――何故か角が生えていた。 「アリスがここにいたという歴史を捏造した……やれやれ。間に合ってよかった。満月じゃなくとも、気合があれば出来てしまうものだな」 アリか、そんなの。 「さて――――――覚悟はいいな」 人を殺せそうなその目に見つめられながら僕はとりあえず――ぜんぶアリスのせいだと思うことにした。 *あとがき これが僕とアリスの出会いです。ついでにあっちには載せなかった蛇足的裏設定書いときます。 あ、下のは全部一人で喋ってますわかりづらいですネごめんなさい。 「あぁ、報酬はいつもどおりで」 「しかしお前もよくやるなぁ」 「この日のために、わざわざ机を贈与したり」 「机職人なんてここには一人か二人しかいない、なのにあんなにたくさん作らせて」 「結構な金かかったんじゃないか?」 「何?」 「詮索するな?」 「断る。お前が私、マ・リーサの正体に気づいているなら話は、別だえ」 「だろ? なら諦めて詮索されろ」 「ん?」 「またわざとらしく話を変えるな……まぁいいや」 「あぁ。問題ない。慧音は生徒たちの記憶を歴史操作の応用で消去」 「家に帰ってようやく自分の服の惨状に気づき、自分の記憶も消去した」 「いつもどおりだぜ。問題ない」 「あと何回か繰り返せば、記憶は消えても、男子どもの体は、チンポは自慰より気持ちいいもんを求める」 「耐えきれなくなって慧音は愛する生徒に襲われ、絶望」 「妹紅は壊れた慧音の世話に必死になって輝夜に構われたがらなくなる、と」 「まったくもって回りくどい上えげつないぜ」 「主のため?」 「自分のためだろう」 「じゃ、次の決行のときにはまた呼んでくれ」 「格安で働いてやる」 「じゃあな」 「……えーりん」 ガチャリ ガチャッ 「もしもし」 「あぁ、大丈夫。誰も気づいてないぜ」 「まさか私がお前と繋がってる、なんてのは」 「ん?」 「あぁ、もう少しだ」 「あと二回もすれば、あいつらはもうすぐ襲いかかるだろうさ」 「え?」 「顔に?」 「そりゃ危なかったな」 「思わず逆レイプした?」 「かかってたら全員まとめてしてただろうって?」 「はぁ……ショタコンもほどほどに、だぜ」 「断る?」 「やれやれだぜ……」 「もういいぜ、次の決行日が決まったら連絡する。じゃあな」 「……慧音」 デーデッデデーン